
「次世代サマークイーンの帰還」、KISS OF LIFE(キスオブライフ)の3rdシングル『SWEAT』がリリースされた。
プロミスナインも「サマークイーン」を名乗っている。サマークイーンは何人いるんだ。
はい、現時点で9人です。
というわけで、プロミスナインになりそこなった、練習生が手掛けたグループKISS OF LIFEを遅ればせながらご紹介するのである。
3rdシングル『SWEAT』
2026年8月4日、3枚目のシングルアルバム『SWEAT』がリリースされた。
タイトル曲「SWEAT」は、エレクトロニックポップとラテンのリズムを組み合わせたアフロハウス。2分53秒と短い。作詞には韓国のラッパーKid Milliが参加。ベルが自分で曲を探してきた、とも報じられている。
「Sweat(汗)」という言葉を、そのままの意味ではなく「自分を磨いてきた時間と痕跡」として使っている、というのが公式のコンセプト説明だ。「内側の努力や不安を、わざわざ他人に証明する必要はない」というメッセージなのだという。
カップリングの「WHAT!」はプラック感の効いたハウスで、こちらはaespaの「Whiplash」「LEMONADE」を手がけたイギリスのプロデューサーShift K3Yが作曲・編曲を担当している。グループとして初のハウス曲だそうだ。
KISS OF LIFE(キスオブライフ)
まず編成が変わっている。
KISS OF LIFEは2023年7月5日にデビューした4人組。所属はS2 Entertainment。
- ジュリ(リーダー)… YGの傘下レーベルThe Black Label、その後Swing Entertainment。練習生期間はおよそ6年
- ナッティ… JYPで練習生生活を始め、『SIXTEEN』(2015年)と『アイドル学校』(2017年)に出演。どちらも最終回まで残ったがデビューメンバーには入らず。練習生期間10年
- ベル… 練習生ではなく作曲家として業界にいた。ベテラン歌手シム・シンの娘
- ハヌル… InstagramのDMで声をかけられてオーディションを受け、練習生1年で最後のメンバーとして合流
このグループを立ち上げたクリエイティブディレクターは、同じ『アイドル学校』で落とされたイ・ヘイン。順位操作がなければ、本当は最終1位だっただ。ナッティを最初に決めて、そこから他のメンバーを集めたという。
『アイドル学校』終了直後の2017年10月、二人はそろってストーンミュージックエンタテインメントに入り、同じ宿舎で練習生生活をしていた。
ナッティは、『SIXTEEN』でTWICEに、『アイドル学校』でfromis_9に、どちらも最後まで残って落ちている。その後ソロデビューを経て、2022年にS2へ移った。
イ・ヘインがYouTubeでラップのカバー動画を見つけ、「こういう練習生がいてほしい」とナッティに見せたところ、それがジュリだった。ナッティとジュリはSwing Entertainmentで3年ほど一緒に練習生をしていたらしくナッティの誘いで合流することになった。
ベルの父は、1990年代の有名歌手シム・シン。いとこの歌手Cherry Cokeがベルの歌を聴いて「音楽を勉強してみたら」と勧め、ヒップホッププロデューサーのIOAHを紹介した。そこでビートのレッスンを受けたのが、作曲を覚えたきっかけだという。
高校時代から作曲家・作詞家として活動を始め、作った曲をInstagramとSoundCloudに上げていた。IOAHの紹介や、聴いた相手からの直接連絡で、Millic、dress、ADORAといったプロデューサーと繋がり、一緒に曲を作るようになる。
初めて他のアーティストに提供したのはPURPLE KISSの「FIND YOU」(2021年)。いちばん有名なのがLE SSERAFIMの「UNFORGIVEN」(2023年)で、2番のヴァースの作詞作曲に参加している。SM Entertainmentのソングキャンプにもよく呼ばれていた。
ベルは歌手やアイドルのオーディションを一度も受けたことがない。目標はミュージシャンで、アイドルになる気はまったくなかったという。
当時、彼女はAURA Entertainmentの所属作曲家で、ソロのシンガーソングライターとしてデビューする予定だった。そのAURAがS2 Entertainmentの傘下レーベルに統合される。そしてイ・ヘインは、この2社のディレクターを兼任していた。イ・ヘインは、自社レーベルの作曲家であるベルを見て「きれいだし歌もうまい」と思い、ガールズグループのデビュー組に入らないかと誘った。
ベルはダンスがまったく踊れなかったし、踊ること自体が嫌いだった。イ・ヘインは「ソロ歌手としてステージをかっこよくやるにも、ダンスの基本は要る」と説得して、彼女に初めてダンスを習わせた。
パフォーマンスのディレクティングチームに「この子をガールズグループのメンバーとして考えているので、踊れるようにしてほしい。」と頼んだという。返ってきた答えは、「無理です。他のメンバーを探してください」だった。
いまはそのパフォーマンスのディレクティングチームが、ベルのステージを見て泣くのだそうだ。
準備期間は1年しかなかった。デビュー前に体重を8.5kgも落としている。
なお、デビュー当時「4人とも大手事務所の練習生出身」という話が出回ったが、ベルとハヌルについては本人たちがインタビューで否定している。ベルはS2が最初の所属会社で、歌手やアイドルのオーディションは一度も受けたことがない。SMとの関わりは、作曲家としてソングキャンプに呼ばれていたというものだった。
グループ名の「KISS OF LIFE」は、口対口の人工呼吸のことである。「K-POP界に新しい息を吹き込む」という意味を込めたという。ファンダム名は「KISSY(キッシー)」。
「実力派」の中身
KISS OF LIFEは、韓国で「怪物新人」「実力派」という言葉と一緒に紹介されることが多い。
その理由のひとつは全員が曲を書けるから。
デビュー曲「쉿(Shhh)」の時点で、作曲にベルとナッティ、作詞にベルとジュリがクレジットされている。カップリングの「안녕,네버랜드(Bye My Neverland)」にはジュリとハヌルが作曲で入っている。デビューアルバムで4人全員が制作に名前を出している。
なかでもベルが突出していて、中学時代から本格的に作曲を始め、これまでに約1,000曲を書いたという。LE SSERAFIMの「UNFORGIVEN」(2023年)の制作に参加し、(G)I-DLEのミヨン、PURPLE KISS、VIVIZにも曲を提供している。自分のグループでは「Get Loud」「Te Quiero」「Shhh」など。
そして生歌が強いから。
音楽番組やアンコールステージで、ハンドマイクを持ったまま激しい振付を踊りきり、音程が崩れない。これが業界内でもファンの間でも繰り返し話題になっている。
ガールクラッシュ系にありがちな「強く見せるために張り上げる」方向へ行かずに、軽くて柔らかいトーンのまま超高難度の振付をこなす。そこが評価されている。
評論家からの評判も良く、韓国の音楽専門誌『IZM』はデビューミニアルバムに5点満点中4.5点をつけた。2024年の韓国大衆音楽賞では「今年の新人」を受賞。ゴールデンディスクアワードやサークルチャートミュージックアワードでも新人賞・ライジングスター賞を取っている。
『SWEAT』チャートアクション
まずMV。
「SWEAT」のミュージックビデオは、公開から2日で1,000万回を突破した。グループとして通算10回目の1,000万回超えで、韓国でもニュースになっている。確認時点で約3,300万回。数字としては完全に成功している。
次に音盤。
『SWEAT』の初動(発売から7日間)は56,000枚超。
KISS OF LIFEのこれまでの売り上げ。
- 『KISS OF LIFE』(2023年・デビュー作)… 5,500枚超
- 『Born to be XX』(2023年)… 44,900枚超
- 『Midas Touch』(2024年)… 69,600枚超
- 『Lose Yourself』(2024年)… 91,900枚超
- 『224』(2025年)… 89,900枚超
- 『Who is she』(2026年4月)… 71,200枚超
- 『SWEAT』(2026年8月)… 56,000枚超
初日24,200枚、2日目16,000枚、3日目9,800枚と積んだあと、4日目に3,100枚まで落ちて、5日目は20枚台、7日目は700枚台。
2024年10月の『Lose Yourself』が頂点で、そこから3作連続で下がっている。
そして音源。
チャート集計のまとめによれば、「SWEAT」のMelon日間チャートの最高順位は170位。TOP 100には入っていない。ジニーミュージックは実時間98位・日間208位。Spotifyの韓国デイリーは101位。
2024年の「Sticky」はMelonの日間チャートで最高5位、米ビルボードのGlobal 200で87位に6週間チャートインしている。
発売当日のグローバルストリーミング数を並べても、「Midas Touch」の970,212に対して「SWEAT」は120,998。8分の1以下になっている。
Bugsの実時間チャートでは6位まで上がっているので、聴いている人がいないわけではない。ただ、韓国の主要な音源チャートにはほぼ姿がなかった。
音楽番組は1冠。
2026年8月11日、SBS Life『THE SHOW』で1位を獲得した。今回のカムバックで唯一の1位である。ミュージックバンクは2位、ショーチャンピオンは4位、Mカウントダウンは5位、音楽中心は12位、人気歌謡は11位。
カムバック前のインタビューで、4人は「1位を取ったら裸足でアンコールステージをやる」と公約していた。そして8月11日、本当に全員が靴を脱いでアンコールを歌った。
MVは3,300万回まわり、音楽番組では1位を取り、裸足で歌い、それでもMelonの日間チャートは170位。
この落差が、いまのこのグループの現在地なのだと思う。海外とYouTubeでは強い。韓国国内の音源では弱い。
人種差別論争
2025年4月2日、ジュリの誕生日を記念して、グループがライブ配信を行った。この配信で、メンバー全員が黒人ヒップホップのスタイリングで登場し、話し方を真似るなどの演出を行った。パロディのラップネームとして「Lil Taco」という名前も使われた。
これが人種的ステレオタイプの戯画化であるとして、強い批判を受けた。
翌4月3日、事務所のS2 Entertainmentは公式に謝罪し、該当動画を削除した。声明では「オールドスクールヒップホップを下敷きに制作したが、結果として特定の人種に対する固定観念を強化する形に見えうることを十分に認識できなかった」と説明している。その後メンバーによる手書きの謝罪文が出され、さらに5月31日、ジュリが自身のInstagramライブで直接謝罪した。黒人コミュニティとラテン系コミュニティに向けて謝り、二度と同じことが起きないようメンバー全員で学ぶ時間を取ったと述べている。
そして2025年5月16日から17日にかけて、出演が決まっていた「KCON LA 2025」への不参加が発表された。KCON側は「S2 Entertainmentとの慎重な検討と議論の末の相互の決定」とだけ説明し、理由は明かさなかった。出演発表からわずか5日後のことだった。
この論争が起きたのが2025年4月から5月で、初動が下がり始めたのがちょうどその後の『Who is she』(2026年4月)と『SWEAT』(2026年8月)だった。
これに因果関係があるかはわからない。初動の下落は『224』(2025年6月)の時点ですでに始まっているし、K-POPの音盤販売そのものが変動の激しい市場でもある。
KISS OF LIFE(키스오브라이프)プロフィール
- デビュー … 2023年7月5日 1st EP『KISS OF LIFE』
- 所属 … S2 Entertainment(日本のレーベルは日本コロムビア)
- メンバー … 4人
- ファンダム名 … KISSY(キッシー)
- グループ名 … 口対口の人工呼吸法。「K-POP界に新しい息を吹き込む」という意味
S2 Entertainmentという会社についても少し。代表はホン・テファ、創業者兼会長はその実父のホン・スンソンで、この人はかつてJYPとCube Entertainmentを率いていた人物である。2024年の売上高は130億ウォン、営業損失は10億ウォン。2025年7月にベンチャーキャピタルから計50億ウォンを調達している。
ジュリ(JULIE:쥴리)——ハワイ生まれのリーダー

- 本名 … ハン・ジュリ(한쥴리 / Julie Han)
- 生年月日 … 2000年3月29日
- 出身 … アメリカ・ハワイ州ホノルル(韓国系アメリカ人)
- ポジション … リーダー・メインラッパー・リードダンサー
- 身長 … 163cm
- 血液型 … O型
- MBTI … ENFP
もともとクラシックバレエを習っており、13歳でソウルへ移住。Def Dance Skoolでダンスとパフォーマンスに出会った。YG傘下のThe Black Label(2017年〜2020年)、Swing Entertainmentを経て2022年にS2 Entertainmentへ。練習生期間はおよそ6年。Swing在籍時にナッティと出会っている。デビュー曲「Shhh」の作詞、「Bye My Neverland」の作詞・作曲に参加。
ナッティ(NATTY:나띠)——練習生10年、二度の最終回落選

- 本名 … アナチャヤ・スプティポン(아낫차야 수풋티퐁 / Ahnatchaya Suputhipong)
- 生年月日 … 2002年5月30日
- 出身 … タイ・バンコク(タイ国籍)
- ポジション … メインダンサー・サブボーカル
- 身長 … 167cm
- 血液型 … O型
- MBTI … INFP/INFJ
JYPで練習生生活を始め、『SIXTEEN』(2015年)と『アイドル学校』(2017年)に出演。いずれも最終回まで残ったがデビューメンバーには選ばれなかった。その後Swing Entertainmentに所属し、2020年5月7日にソロシングル『Nineteen』でソロデビュー。2022年7月12日にS2 Entertainmentと専属契約を結んだ。練習生期間は通算10年。デビュー曲「Shhh」の作詞・作曲に参加。
ベル(BELLE:벨)——1,000曲を書いたメインボーカル

- 本名 … シム・ヘウォン(심혜원 / Shim Hye-won)
- 生年月日 … 2004年3月20日
- 出身 … アメリカ・ワシントン州シアトル(韓国系アメリカ人)
- ポジション … メインボーカル
- 身長 … 168cm
- 血液型 … AB型
- MBTI … ENFP/ENTP
ベテラン歌手シム・シンの娘。いとこの姉である歌手Cherry Cokeの勧めで音楽を学び始め、高校時代から作曲家・作詞家として活動していた。歌手やアイドルのオーディションは一度も受けたことがなく、AURA Entertainment所属の作曲家だったところをディレクターのイ・ヘインに口説かれてデビュー組に入った。SM Entertainmentのソングキャンプにもよく参加していた。LE SSERAFIM「UNFORGIVEN」(2023年)の制作に参加したほか、(G)I-DLEのミヨン、PURPLE KISS、VIVIZにも楽曲を提供。自グループでは「Get Loud」「Te Quiero」「Shhh」などを手がけている。これまでに約1,000曲を作曲したという。
ハヌル(HANEUL:하늘)——169cm、最後に選ばれたマンネ

- 本名 … ウォン・ハヌル(원하늘 / Won Ha-neul)
- 生年月日 … 2005年5月25日
- 出身 … 韓国・京畿道水原市
- ポジション … リードボーカル
- 身長 … 169cm
- 血液型 … B型
- MBTI … ESTJ
母親が音楽学院の講師で、幼少期からコンクール漬けだった。小学6年生のとき『アイドル学校』のオンラインオーディションに応募して落ちており、その後もオーディションに挑み続けている。InstagramのDMで声をかけられてS2のオーディションを受け、4人の中で唯一オーディション経由で入社した。デビュー組を組む際、事務所のスタッフもすでに決まっていたメンバーも全員がハヌルを推し、最後のメンバーとして合流している。グループ最年少かつ最長身。「Bye My Neverland」の作曲に参加。
ディスコグラフィー(リリース順)
2023.07.05
KISS OF LIFE(1st EP)
タイトル曲「쉿 (Shhh)」/ デビュー作・初動5,500枚超・IZM 4.5点
2023.11.08
Born to be XX(2nd EP)
ダブルタイトル「Bad News」「Nobody Knows」/ 初動44,900枚超
2024.04.03
Midas Touch(1stシングルアルバム)
タイトル曲「Midas Touch」/ 初動69,600枚超・ビルボードGlobal 200 165位
2024.07.01
Sticky(デジタルシングル)
タイトル曲「Sticky」/ Melon日間5位・ビルボードGlobal 200 87位(6週)・初の音楽番組1位
2024.10.15
Lose Yourself(3rd EP)
タイトル曲「Get Loud」「R.E.M」/ 初動91,900枚超・キャリアハイ
2025.05.07
KISS ROAD(スペシャルデジタルシングル)
同名のワールドツアーに合わせた1曲
2025.06.09
224(4th EP)
タイトル曲「Lips, Hips, Kiss」/ 初動89,900枚超・全7曲
2025.11.05
TOKYO MISSION START(日本1st EP)
タイトル曲「Lucky」/ 日本デビュー作(日本コロムビア)
2025.11.18
Lucky (Korean Ver.)(デジタルシングル)
日本オリジナル曲の韓国語版
2026.04.06
Who is she(2ndシングルアルバム)
タイトル曲「Who is she」/ 初動71,200枚超・初のMカウントダウン1位(4月16日)
2026.07.04
BREAK IT(日本デジタルシングル)
日本向けのデジタルシングル
2026.08.04
SWEAT(3rdシングルアルバム)
タイトル曲「SWEAT」/ 収録曲「WHAT!」/ 初動56,000枚超・THE SHOWで1位
こうして並べると、リリースの間隔が短い。デビューから3年で韓国の音盤だけで11作。よく働いている。
世界と日本
ワールドツアー『KISS ROAD』は全45公演。北米15都市(ミネアポリス、シカゴ、ロサンゼルス、シアトルなど)、ヨーロッパ13都市(ロンドン、パリ、ベルリン、リスボンなど)、アジア9都市(マニラ、ジャカルタ、台北、神奈川、大阪など)をまわり、2025年5月4日の大阪公演で締めくくった。同年7月19日にはソウルで凱旋アンコール公演も行っている。
デビュー2年目のグループとしてはありえないくらい成功してると言ってよいと思う。
2025年1月28日には、ブダペストの「Sziget Festival」にK-POPグループとして初めて出演した。
日本では、2025年10月15日に「Sticky (Japanese Ver.)」を先行配信し、11月5日に日本デビューミニアルバム『TOKYO MISSION START』をリリース。タイトル曲「Lucky」は日本オリジナル曲だ。レーベルは日本コロムビア。2026年7月4日には日本デジタルシングル「BREAK IT」も出している。
おわりに
イ・ヘインのプロデューサーとしての成功を大変喜ばしい事と思う。
そのイ・ヘインは2024年の『Lose Yourself』を最後にプロデューサーを降り、退社。
2025年5月には新会社を自ら、たちあげている。
その話は、また別の機会に。
イジェン・アンニョン。


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